ここ数年、小中学生を見ていて気になることがあります。
それは、「死ね」などのネガティブな言葉を軽々しく使うことです。
もちろん耳にすれば、注意します。
単純に良くない言葉だというのもありますが、「言霊」というものをなんとなく信じているからです。
それもあって「死ねと言いそうになったら、『生きろ』と言い換えてね」と伝えています。
すると、面白がりながら「『生きろ』って言わなあかんねんで」とお互いに注意しあってくれているので、多少の効果はあるようです。
さて、その「言霊」ですが、古代日本では言葉には霊力が宿り、発した言葉は現実に何かしらの影響を与えると信じられていました。
万葉集には、遣唐使を送る際に柿本人麻呂が読んだとされる「しきしまの 大和(やまと)の国は 言霊(ことだま)の 助くる国ぞ ま幸(さき)くありこそ」という歌があります。
「日本の国は言霊が幸をもたらす国です。どうか私が言葉で『ご無事でいて下さい』と申し上げることによって、どうぞその通りご無事でいて下さい」という意味です。
つまり、「無事に行ってきて」と口に出すことで皆は無事に行くことができると、遣唐使に言っているのです。
なんて前向きなのでしょう。
古代の言霊のように霊力があるかは別として、現代も言葉は自己にも他者にも暗示をかける力はあると思います。
ですから、前向きな言葉の使い方を私もしたいですし、塾生にもしてほしいと思います。
国語担当講師 荒柴